はと麦とは?栄養・効果・妊娠中の注意点まで解説【雑穀図鑑】

はと麦とは、イネ科ジュズダマ属の穀物で、雑穀の中では最大級の白く大きな粒が特徴です。種皮を除いた子実は生薬「ヨクイニン」として日本薬局方にも収載され、肌荒れやいぼへの伝統的な利用で知られてきました。
一方で「はと麦=栄養豊富」というイメージには注意が必要です。精白したはと麦の食物繊維やミネラルは実は白米と大差なく、本当の強みはたんぱく質(白米の約2.2倍)にあります。この記事では、数値の実際・期待できる働き・妊娠中の注意点・炊き方までを解説します。
この記事のポイント
- はと麦の栄養的な強みはたんぱく質。「食物繊維が豊富」は精白粒には当てはまりにくい
- 生薬ヨクイニンとしての歴史があるが、食品としての効果は断定できない
- 粒が硬いので下茹でか一晩浸水が基本。もちもち食感でスープに合う
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はと麦とは(基本情報)

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | イネ科ジュズダマ属 |
| 学名 | Coix lacryma-jobi var. ma-yuen |
| 英名 | Job’s tears/adlay |
| 原産地 | 東南アジア〜中国南部 |
| 日本の主産地 | 富山県(生産量全国一)・栃木県・岩手県など |
| グルテン | なし(ただしイネ科アレルギーには注意) |
日本には江戸時代までに薬用として広まり、種皮を除いた子実は生薬「ヨクイニン」として現在も医薬品(いぼ・皮膚のあれ)に配合されています。食用としては雑穀米・はと麦茶・薬膳粥など、食と薬の両面で使われてきた珍しい穀物です。
なお「はと麦茶の効能」を知りたい方向けの詳しい解説は、別記事として公開予定です(お茶では粒の栄養はほとんど摂れません)。
はと麦の栄養成分|白米との比較表
はと麦(精白粒)100gあたりの主な栄養成分です。
| 成分(100gあたり・乾燥) | はと麦(精白粒) | 精白米(うるち米) |
|---|---|---|
| エネルギー | 353 kcal | 342 kcal |
| たんぱく質 | 13.3 g | 6.1 g |
| 脂質 | 1.3 g | 0.9 g |
| 炭水化物 | 72.2 g | 77.6 g |
| 食物繊維総量 | 0.6 g | 0.5 g |
| 鉄 | 0.4 mg | 0.8 mg |
| カルシウム | 6 mg | 5 mg |
| マグネシウム | 12 mg | 23 mg |
| ビタミンB1 | 0.02 mg | 0.08 mg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
※数値は同表のはとむぎ・精白米(うるち米)で照合済み(2026年7月)。
数値を見ると、はと麦の突出した強みはたんぱく質が白米の約2.2倍(13.3g vs 6.1g)であること。逆に、精白粒では食物繊維・鉄・マグネシウムは白米と同水準かむしろ少なく、「はと麦はミネラル豊富」という通説は精白粒には当てはまりません。ミネラルや食物繊維を重視するなら大麦やアマランサスの方が適しています。
はと麦に期待できる効果・注目成分
(以下は栄養成分・生薬としての伝統的利用の紹介であり、疾病の治療効果を保証するものではありません)
たんぱく質|穀物トップクラスの含有量
はと麦は穀物の中でも特にたんぱく質が多く、アミノ酸を含む主食のかさ増しとして優秀です。肌・髪・筋肉の材料となる栄養素を、ごはんと一緒に摂れます。
ヨクイニン|肌への伝統的利用
はと麦の子実(ヨクイニン)は、いぼ・皮膚のあれへの効能効果をもつ医薬品の原料として承認されています。ただしこれは生薬・医薬品としての話であり、食品としてはと麦を食べた場合に同じ効果が得られるとは限りません。肌悩みの治療目的であれば、皮膚科や薬剤師への相談が先です。
コイクセノリド等の固有成分
はと麦特有の成分としてコイクセノリドなどが研究されていますが、ヒトでの効果はまだ十分に確立されていません。「〜が研究されている」段階の成分であることを踏まえて取り入れましょう。
はと麦のデメリット・注意点
妊娠中の大量摂取は避ける
生薬ヨクイニンには子宮収縮に関わる可能性が伝統的に指摘されており、妊娠中の大量摂取は避けるべきとされています。ごはんに混ぜる程度の量で直ちに問題があるとは考えられていませんが、妊娠中に継続して取り入れたい場合は医師・助産師に相談してください。
イネ科アレルギー
まれにはと麦を含む穀物でアレルギー症状が出ることがあります。初めては少量から試してください。
「食べれば肌がきれいになる」わけではない
前述のとおり、医薬品ヨクイニンと食品はと麦は別物です。過度な期待で大量に食べるより、主食の一部として続けるのが現実的です。
はと麦の基本の炊き方・下ごしらえ
粒が大きく硬いため、下ごしらえがおいしさを左右します。
| 項目 | 分量・時間 |
|---|---|
| 白米 | 2合(通常の水加減) |
| はと麦 | 大さじ2(約30g) |
| 下ごしらえ | 一晩(6時間以上)浸水、または15〜20分下茹で |
| 追加する水 | 浸水済みなら大さじ2〜3 |
- はと麦を洗い、たっぷりの水に一晩浸す(急ぐ場合は下茹で)
- 水を切り、研いだ白米2合に加える
- 水を大さじ2〜3追加して炊飯する
はと麦のおすすめの食べ方
- はと麦ごはん:もちもちした粒の存在感があり、食べごたえが出る
- スープ・薬膳粥:下茹でしたはと麦は鶏だしのスープや中華粥と好相性
- サラダ:茹でて冷ましたはと麦は、プチプチ食感のトッピングになる
雑穀ごはん全般の配合は雑穀の炊き方・調理法を参考にしてください。
はと麦の選び方・保存方法
- 国産(精白粒)は粒がそろい、雑穀米向き。茶用の焙煎品と間違えないよう表示を確認
- 未開封は冷暗所で常温保存可。開封後は密閉容器で冷蔵し、早めに使い切る
- 脂質の酸化で風味が落ちやすいため、長期保存は冷凍が安心
はと麦のよくある質問(FAQ)
Q. はと麦とヨクイニンの違いは?
A. 原料は同じ植物です。はと麦は穀物(食品)としての呼び名、ヨクイニンは種皮を除いた子実を乾燥させた生薬(医薬品原料)としての呼び名です。効能をうたえるのは医薬品のヨクイニンのみです。
Q. はと麦はいぼに効きますか?
A. いぼへの効能が認められているのは医薬品としてのヨクイニン製剤です。食品のはと麦を食べることで同じ効果が得られる保証はありません。いぼの治療は皮膚科への相談をおすすめします。
Q. 妊娠中に食べてもいい?
A. ごはんに混ぜる程度の少量なら一般に問題ないとされますが、大量摂取は避け、継続して取り入れる場合は医師に相談してください。はと麦茶についても同様の考え方が無難です。
Q. はと麦茶を飲めば、はと麦の栄養が摂れますか?
A. ほとんど摂れません。麦茶類は香ばしさを楽しむ飲み物で、たんぱく質などの栄養は粒を食べる場合と大きく異なります。
Q. 保存方法は?
A. 開封後は密閉容器で冷蔵、長期なら冷凍がおすすめです。湿気ると風味が落ち、虫害の原因にもなります。
まとめ|はと麦は「たんぱく質の雑穀」として取り入れる
はと麦は、生薬ヨクイニンの原料として独自の歴史を持ち、栄養面ではたんぱく質が白米の約2.2倍という明確な強みがある雑穀です。肌への効果は医薬品と食品を区別して冷静に捉えつつ、もちもちした大粒の食感を主食やスープで楽しんでください。
あわせて読みたい
参考にした主な情報
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 日本薬局方(ヨクイニン)・医薬品添付文書情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」


