

雑穀の種類
雑穀とは、白米(うるち米)や小麦以外に日常的に利用されている穀物の総称です。このページでは、あわ・ひえ・きびなどの日本の伝統雑穀から、大麦・はと麦などの麦類、黒米・赤米・緑米の古代米、キヌア・アマランサス・そばの実といった擬穀類まで、主要12種を一覧で比較できます。
先に正直なところを書きます。「雑穀は栄養価が高い」とひとくくりにはできません。食物繊維は大麦(押麦)が乾燥100gあたり12.2gで白米の約24倍ですが、はと麦は0.6gで白米の0.5gとほとんど変わらず、鉄も0.4mgと白米の0.8mgを下回ります。何がどれだけ増えるかは、混ぜる種類で決まります。
そしてもう一点。乾燥100gあたりの倍率は、実際に食べるお茶碗1杯に換算するとかなり小さくなります。白米1合に押麦大さじ2を混ぜて炊いた場合、1杯(150g)の食物繊維は約1.7g。白米だけなら約0.3gなので、差は+1.4gです。約24倍が+1.4gになる——この落差まで含めて数値で示します。
下の比較表で成分ごとの実数を確かめ、目的別の選び方から、気になる雑穀の図鑑ページ(特徴・栄養・炊き方・食べ方)へ進んでください。
主要12種の栄養比較(100gあたり)
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| 雑穀名 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン | ビタミンE | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ナイアシン | ビタミンB6 | 葉酸 | パントテン酸 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| あわ | 346 kcal | 11.2 g | 4.4 g | 69.7 g | 3.3 g | 1 mg | 300 mg | 14 mg | 110 mg | 280 mg | 4.8 mg | 2.5 mg | 0.49 mg | 0.88 mg | 0.6 mg | 0.56 mg | 0.07 mg | 2.9 mg | 0.18 mg | 29 µg | 1.83 mg |
| ひえ | 361 kcal | 9.4 g | 3.3 g | 73.2 g | 4.3 g | 6 mg | 240 mg | 7 mg | 58 mg | 280 mg | 1.6 mg | 2.2 mg | 0.15 mg | 1.37 mg | 0.1 mg | 0.25 mg | 0.02 mg | 0.4 mg | 0.17 mg | 14 µg | 1.50 mg |
| きび | 353 kcal | 11.3 g | 3.3 g | 70.9 g | 1.6 g | 2 mg | 200 mg | 9 mg | 84 mg | 160 mg | 2.1 mg | 2.7 mg | 0.38 mg | − | Tr | 0.34 mg | 0.09 mg | 3.7 mg | 0.20 mg | 13 µg | 0.95 mg |
| はと麦 | 353 kcal | 13.3 g | 1.3 g | 72.2 g | 0.6 g | 1 mg | 85 mg | 6 mg | 12 mg | 20 mg | 0.4 mg | 0.4 mg | 0.11 mg | 0.81 mg | 0.0 mg | 0.02 mg | 0.05 mg | 0.5 mg | 0.07 mg | 16 µg | 0.16 mg |
| 大麦(押麦) | 329 kcal | 6.7 g | 1.5 g | 78.3 g | 12.2 g | 2 mg | 210 mg | 21 mg | 40 mg | 160 mg | 1.1 mg | 1.1 mg | 0.22 mg | 0.86 mg | 0.1 mg | 0.11 mg | 0.03 mg | 3.4 mg | 0.13 mg | 10 µg | 0.40 mg |
| 赤米 | 344 kcal | 8.5 g | 3.3 g | 71.9 g | 6.5 g | 2 mg | 290 mg | 12 mg | 110 mg | 350 mg | 1.2 mg | 2.4 mg | 0.27 mg | 2.50 mg | 1.5 mg | 0.38 mg | 0.05 mg | 5.5 mg | 0.50 mg | 30 µg | 1.17 mg |
| 黒米 | 341 kcal | 7.8 g | 3.2 g | 72.0 g | 5.6 g | 1 mg | 270 mg | 15 mg | 110 mg | 310 mg | 0.9 mg | 1.9 mg | 0.22 mg | 4.28 mg | 1.3 mg | 0.39 mg | 0.10 mg | 6.9 mg | 0.49 mg | 49 µg | 0.83 mg |
| 緑米※玄米の参考値 | 346 kcal | 6.8 g | 2.7 g | 74.3 g | 3.0 g | 1 mg | 230 mg | 9 mg | 110 mg | 290 mg | 2.1 mg | 1.8 mg | 0.27 mg | 2.06 mg | 1.2 mg | 0.41 mg | 0.04 mg | 6.3 mg | 0.45 mg | 27 µg | 1.37 mg |
| キヌア | 344 kcal | 13.4 g | 3.2 g | 69.0 g | 6.2 g | 35 mg | 580 mg | 46 mg | 180 mg | 410 mg | 4.3 mg | 2.8 mg | 0.47 mg | 2.45 mg | 2.6 mg | 0.45 mg | 0.24 mg | 1.2 mg | 0.39 mg | 190 µg | 0.95 mg |
| アマランサス | 343 kcal | 12.7 g | 6.0 g | 64.9 g | 7.4 g | 1 mg | 600 mg | 160 mg | 270 mg | 540 mg | 9.4 mg | 5.8 mg | 0.92 mg | 6.14 mg | 1.3 mg | 0.04 mg | 0.14 mg | 1.0 mg | 0.58 mg | 130 µg | 1.69 mg |
| ソルガム(たかきび) | 348 kcal | 9.5 g | 2.6 g | 74.1 g | 4.4 g | 2 mg | 410 mg | 14 mg | 110 mg | 290 mg | 2.4 mg | 1.3 mg | 0.21 mg | 1.12 mg | 0.2 mg | 0.10 mg | 0.03 mg | 3.0 mg | 0.24 mg | 29 µg | 0.66 mg |
| そばの実(そば米) | 347 kcal | 9.6 g | 2.5 g | 73.7 g | 3.7 g | 1 mg | 390 mg | 12 mg | 150 mg | 260 mg | 1.6 mg | 1.4 mg | 0.38 mg | 0.76 mg | 0.1 mg | 0.42 mg | 0.10 mg | 4.3 mg | 0.35 mg | 23 µg | 1.53 mg |
| 精白米(うるち米) | 342 kcal | 6.1 g | 0.9 g | 77.6 g | 0.5 g | 1 mg | 89 mg | 5 mg | 23 mg | 95 mg | 0.8 mg | 1.4 mg | 0.22 mg | 0.81 mg | 0.1 mg | 0.08 mg | 0.02 mg | 1.2 mg | 0.12 mg | 12 µg | 0.66 mg |
出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。数値は乾燥100gあたり。大麦は押麦、そばの実は「そば米」、緑米は八訂未収載のため玄米の参考値です。「−」は成分表で未測定の項目、「Tr」は微量(最小記載量に満たない)を表します。各雑穀の詳しい栄養と白米との比較は、雑穀名のリンク先(図鑑ページ)で解説しています。
お茶碗1杯に換算すると
上の表は乾燥100gあたりの値です。実際に口に入るのは白米に混ぜて炊いたごはんなので、白米1合(150g)に雑穀大さじ2(約30g)を混ぜ、炊き上がり約400gのうちお茶碗1杯(150g)を食べた場合に換算しました。倍率ではなく、1食で動く実数です。
| 成分 | 混ぜた雑穀 | 白米のみ | 雑穀入り | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 食物繊維 | 大麦(押麦) | 約0.3 g | 約1.7 g | +1.4 g |
| 鉄 | アマランサス | 約0.5 mg | 約1.5 mg | +1.0 mg |
| ビタミンB1 | あわ | 約0.05 mg | 約0.11 mg | +0.06 mg |
| マグネシウム | キヌア | 約16 mg | 約33 mg | +17 mg |
| たんぱく質 | キヌア | 約4.2 g | 約4.9 g | +0.8 g |
| たんぱく質 | 大麦(押麦) | 約4.2 g | 約4.2 g | ほぼ変わらない |
| 食物繊維 | はと麦 | 約0.3 g | 約0.3 g | ほぼ変わらない |
出典は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。炊き上がり約400g、お茶碗1杯(150g)に含まれる雑穀約11.3g・白米約56.3g(乾燥重量)で算出した計算値です。混ぜる量を大さじ1(約15g)にすると、差はおおむね半分になります。カロリーと糖質は白米とほとんど変わりません。
目的別の選び方
- はじめての一袋に
クセが少なく、やさしい甘みで白米になじみます。まずは白米1合に大さじ1(約15g)から試すのが無難です。
- 子どもと一緒に食べたい
小粒でやわらかく煮られる種類です。消化機能が発達の途中なので、白米に対する割合は控えめから始めてください。
- 食物繊維をとりたい
押麦は乾燥100gで12.2g(白米の約24倍)。お茶碗1杯に換算すると約1.7gで、白米だけの約0.3gとの差は+1.4gです。
- 鉄分・ミネラルを補いたい
アマランサスの鉄は乾燥100gで9.4mg。1杯では約1.5mgで、白米だけの約0.5mgに対して+1.0mgです。あわは4.8mg、キヌアは4.3mg。
- たんぱく質を補いたい
乾燥100gではキヌア13.4g・はと麦13.3gと白米の2倍以上ですが、1杯では+0.8g程度にとどまります。量よりアミノ酸のバランスが変わる話です。
- グルテンを避けたい
12種のうち、グルテン関連疾患で避ける対象になるのは大麦だけです。ただしそばの実はそばアレルギーの対象で、市販のブレンド品には大麦や小麦が入っていることがあります。
- 彩り・風味を楽しむ
古代米の色と香りで、いつものごはんが変わります。栄養で伸びるのは食物繊維とビタミンB1で、鉄はほとんど増えません。
- あまり増えない種類も知っておきたい
はと麦は食物繊維0.6g・鉄0.4mgで、白米(0.5g・0.8mg)と同水準かそれ以下です。きびの食物繊維も1.6gで、1杯では+0.1gしか変わりません。
図鑑から一歩踏み込んで読む
図鑑ページでは概要をまとめています。炊き方や食べ過ぎ、似た雑穀との違いなど、1つのテーマを掘り下げた記事はこちらです。
キヌアからの派生記事
- キヌアの炊き方
水加減・ゆで時間・白米に混ぜる場合の割合を、失敗しやすい順にまとめています。
- キヌアの食べ過ぎ
食物繊維を一度に増やしたときにお腹の調子が変わる理由と、量の目安を整理しています。
- キヌアは糖尿病に良い?
糖質量は白米とほとんど変わりません。機能性表示食品の届出実績がある大麦との違いを整理しています。
- キヌアとアマランサスの違い
たんぱく質13.4gと12.7g、鉄4.3mgと9.4mg。似た擬穀類の差を実数で比べています。
アマランサスからの派生記事
- アマランサスに毒性はある?
「毒性」という言葉がどこから来ているのかと、食用の穀粒について確認されている範囲を整理しています。
大麦からの派生記事
- もち麦と押し麦の違い
もち麦には公的な成分値がありません。押麦の12.2gと商品表示で見るしかない理由を書いています。
「雑穀の種類」の記事一覧

緑米は古代米3色の中で最も流通量が少ない希少米です。八訂に単独収載がなく、栄養は玄米の参考値で見るのが実際のところ。お茶碗1杯あたりで増える量、黒米・赤米との違い、粘りを活かす炊き方と割合、単体入手が難しい場合の選び方まで、公的数値に基づいて解説します。

黒米は食物繊維が白米の約11倍(5.6g/乾100g)、ビタミンB1が約4.9倍で、外皮にアントシアニンを含む古代米です。お茶碗1杯あたりで実際に増える量、鉄はほぼ増えないという事実、赤米との使い分け、紫色に炊き上げる割合と浸水時間まで数値で解説します。

赤米は食物繊維が白米の約13倍(6.5g/乾100g)、ビタミンB1が約4.8倍の古代米で、外皮にタンニン系ポリフェノールを含みます。お茶碗1杯あたりで実際に増える量、黒米との違いと使い分け、ほんのり赤く炊く割合と浸水時間、渋みを出さないコツまで解説します。

大麦は食物繊維が白米の約24倍(12.2g/乾100g)で、その半分以上が水溶性のβ-グルカンです。ただしお茶碗1杯に換算すると約0.3g→約1.7gで、上乗せは+1.4g。押し麦・もち麦・丸麦の違い、白米との栄養比較、白米2合+大麦50gという麦ごはんの割合と炊き方、測定法による数値の違いまで解説します。

はと麦の精白粒は食物繊維0.6g・鉄0.4mgと白米以下で、「ミネラル豊富」は当てはまりません。突出しているのはたんぱく質13.3g(白米の約2.2倍)。お茶碗1杯あたりの実数、生薬ヨクイニンとの違い、妊娠中の注意点、下ごしらえまで八訂の数値で解説します。

きび(黍)はたんぱく質が白米の約1.9倍・鉄が約2.6倍の黄色い雑穀です。一方で食物繊維は1.6gと雑穀の中では控えめ。お茶碗1杯あたりで実際に増える量、あわ・ひえとの違いと使い分け、もちきびの炊き方と割合まで、八訂の数値に基づいて解説します。

ひえ(稗)は食物繊維が白米の約8.6倍(4.3g/乾100g)で、クセがほとんどなく毎日続けやすい雑穀です。お茶碗1杯あたりで実際に増える量、あわ・きびとの使い分け、パサつかせない炊き方、離乳食での考え方まで、八訂の数値に基づいて解説します。

あわ(粟)は鉄が白米の6倍・ビタミンB1が7倍の日本最古級の雑穀です。お茶碗1杯に換算すると鉄は約0.5mg→約1.0mg、ビタミンB1は約0.05mg→約0.11mgに増えます。もちあわ・うるちあわの違い、白米との栄養比較、白米2合+大さじ2という炊き方、離乳食での考え方までまとめます。
雑穀の種類に関するよくある質問
- 雑穀にはどんな種類がありますか?
- 大きく4つのグループに分けると整理しやすくなります。あわ・ひえ・きび・たかきびといったイネ科の日本の伝統雑穀、大麦・はと麦などの麦類、黒米・赤米・緑米の古代米、そしてキヌア・アマランサス・そばの実などイネ科以外の擬穀類です。雑穀に厳密な定義はなく、白米や小麦以外に利用される穀物の総称として使われます。このページでは流通量の多い12種を図鑑形式で解説しています。
- 初心者におすすめの雑穀はどれですか?
- クセが少なく甘みのある「あわ」や「きび」が取り入れやすい種類です。白米に混ぜても味や食感の変化が小さく、雑穀の入門に向いています。食物繊維を増やしたい場合は大麦(押麦)が向きますが、独特のぷちぷちした食感があるため、まずは少量から試してください。
- 栄養価がいちばん高い雑穀はどれですか?
- 成分ごとに変わるため、1つには決まりません。乾燥100gあたりで12種を比べると、食物繊維は大麦(押麦)の12.2g、鉄はアマランサスの9.4mg、ビタミンB1はあわの0.56mg、たんぱく質はキヌアの13.4gが最も多い値です。一方ではと麦は食物繊維0.6g・鉄0.4mgで、精白米の0.5g・0.8mgと同水準かそれ以下になります。「雑穀だから栄養価が高い」とひとくくりにはできず、増やしたい成分から選ぶことになります。
- グルテンを含まない雑穀はどれですか?
- このページで紹介している12種のうち、グルテン関連疾患で避ける対象になるのは大麦だけです。グルテンは疾患の文脈では小麦・大麦・ライ麦に含まれるたんぱく質を指すため、あわ・ひえ・きび・はと麦・たかきび・黒米・赤米・緑米・キヌア・アマランサス・そばの実は該当しません。ただしそばの実はそばアレルギーの対象で、市販のブレンド品には大麦や小麦が混ざっていることがあるため、原材料表示を確認してください。
- 複数の雑穀を混ぜてもいいですか?
- 問題ありません。市販の五穀米・十六穀米のように複数をブレンドすると、栄養や食感のバランスが取りやすくなります。ただし種類の数が多いほど栄養が増えるわけではなく、実際に増える成分は配合されている雑穀の種類と量で決まります。初めて食べる種類が含まれる場合は、少量から試してください。

