雑穀の種類

大麦とは?栄養や効果を解説

大麦

日本でもおなじみの雑穀といえば 大麦(おおむぎ) です。

麦ごはんや麦茶として古くから親しまれ、現代では「もち麦」や「押麦」としてスーパーでもよく見かけます。

世界的にも歴史のある穀物で、小麦と並び人類が最も早く栽培した穀物のひとつとされています。

大麦の最大の特徴は、白米に比べて 水溶性食物繊維(β-グルカン) が非常に豊富なこと。

腸内環境を整える働きや、血糖値の上昇を抑えるサポート、コレステロール値の改善など、健康志向の高まりとともに注目を集めています。

「大麦って白米とどう違うの?」「もち麦や押麦の違いは?」「どんな効果があるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、大麦の基本情報から栄養や効果、食べ方までを詳しく解説します。

大麦とは?

大麦とは?

大麦はイネ科の一年草で、学名は Hordeum vulgare

小麦と同じく古代から世界各地で栽培されてきた穀物で、約1万年前の中東で栽培が始まったといわれています。

ビールやウイスキーの原料としても知られ、食用としても飲料用としても広く利用されてきました。

日本では「五穀(米・麦・粟・豆・黍)」のひとつとして数えられ、主に麦ごはんや麦茶に使われてきました。

特に戦後までは主食の一部として一般家庭に広く浸透しており、現代でも健康志向の高まりとともに再び注目を集めています。

粒の加工方法によって「押麦」「もち麦」「丸麦」などの種類があり、それぞれ食感や用途が異なります。

ぷちぷちとした食感や香ばしい風味を持ち、料理のアクセントとしても優れた穀物です。

関連: 雑穀とは?基本解説はこちら

大麦の栄養(白米との比較)

大麦の最大の特徴は、白米に比べて 食物繊維が圧倒的に多い ことです。

特に水溶性食物繊維である β-グルカン が豊富に含まれており、腸内環境を整える、血糖値の上昇を抑える、コレステロール値を下げるなどの働きが期待されています。

また、たんぱく質やビタミンB群、ミネラル類もバランスよく含んでいるため、日常の食生活に取り入れることで栄養バランスを底上げできます。

栄養成分(100gあたり)

栄養素 大麦(押麦) 白米 白米比
エネルギー 約340kcal 356kcal 0.95倍
たんぱく質 6.0g 6.1g 同程度
脂質 1.3g 0.9g 約1.4倍
炭水化物 77g 77g 同程度
食物繊維 9.6g 0.5g 約19倍
カリウム 240mg 89mg 約2.7倍
マグネシウム 100mg 23mg 約4.3倍
1.2mg 0.8mg 約1.5倍
ビタミンB1 0.30mg 0.08mg 約3.7倍
ビタミンB2 0.09mg 0.02mg 約4.5倍

白米と比べて特に目立つのは 食物繊維の多さ。その量は白米の約19倍にもなります。さらに、ビタミンB群やミネラル類も充実しており、腸活や生活習慣病予防に最適な雑穀といえます。

レーダーチャートでの比較

白米を基準(100)としたレーダーチャートでは、「食物繊維」「カリウム」「マグネシウム」「ビタミンB群」が大きく広がり、大麦の栄養バランスの良さが一目で分かります。

大麦の特徴や効果

大麦の特徴や効果

大麦は、炭水化物を主成分としつつも、白米には少ない食物繊維やビタミンB群、ミネラルを豊富に含む雑穀です。

特に注目すべきは 水溶性食物繊維「β-グルカン」 で、腸活や生活習慣病の予防をサポートする成分として研究が進められています。ここでは、大麦の代表的な効果を紹介します。

(※以下は栄養成分の一般的な働きを説明したもので、医薬品的な効果を示すものではありません)

腸内環境を整える

大麦には白米の約19倍もの食物繊維が含まれています。

特に水溶性食物繊維のβ-グルカンは、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える効果が期待されます。

便通改善や腸活を意識する人におすすめの食品です。

血糖値の上昇を抑える(低GI食品)

大麦は食後血糖値の上昇を緩やかにする働きがあり、低GI食品として注目されています。

糖質をエネルギーに変換する速度がゆるやかになるため、糖尿病予防やダイエットを意識する人に適しています。

コレステロール値の改善をサポート

β-グルカンには血中コレステロールを下げる作用があるとされ、心疾患や動脈硬化のリスク低減につながることが期待されています。

日常的に大麦を取り入れることで生活習慣病の予防に役立ちます。

ビタミンB群で代謝をサポート

大麦はビタミンB1・B2が白米より豊富に含まれており、糖質や脂質を効率的にエネルギーに変換する働きをサポートします。

疲労回復やストレスケアに役立つ栄養素です。

麦茶としても親しまれる

炒った大麦を煮出した「麦茶」は、日本の夏の定番飲料。

香ばしい風味とノンカフェインの安心感から、小さな子どもから高齢者まで幅広く飲まれています。

利尿作用が期待され、体を冷やす飲み物としても重宝されてきました。

大麦の食べ方やレシピ例

大麦は食物繊維が豊富で栄養価が高いだけでなく、調理方法がシンプルで幅広い料理に応用できるのも魅力です。

日本では「麦ごはん」や「麦茶」として身近な存在ですが、スープやサラダなど洋風料理にもよく合います。ここでは代表的な食べ方を紹介します。

麦ごはん(基本の食べ方)

白米に混ぜて炊くのが、最もポピュラーな食べ方です。

  • 基本の割合:白米2合に対して、大さじ3〜4杯の押麦またはもち麦
  • ポイント:麦は吸水に時間がかかるため、30分ほど浸水させるとよりふっくら炊き上がります。

ぷちぷち・もちもちとした食感が加わり、食べごたえがアップします。

スープやリゾットに

大麦を下茹でしてからスープに加えると、ぷちぷちした食感が楽しめます。

野菜スープやミネストローネ、チキンスープに入れると満足感のある一品に。リゾットやポトフに入れても合います。

サラダに

茹でた大麦を冷やしてサラダに加えると、ボリュームのあるヘルシーサラダになります。

ひよこ豆やレンズ豆と組み合わせると、たんぱく質と食物繊維をしっかり摂れる栄養満点メニューに。

麦茶として飲む

炒った大麦を煮出した「麦茶」は、日本で古くから愛飲されている飲み物です。

香ばしい味わいでノンカフェインなので、妊婦さんや子どもにも安心。夏は冷やして、冬はホットで楽しめます。

麦麺やパンに

大麦粉はパンや麺にも利用されます。ヘルシー志向のパンやうどん、ラーメンの材料として使われることもあり、食物繊維を補いたい人に人気です。

大麦はどんな人におすすめ?

大麦は豊富な食物繊維とミネラルを含み、腸内環境の改善や生活習慣病予防に役立つ雑穀です。

クセが少なく取り入れやすいため、幅広い世代におすすめできます。

特に次のような人に向いています。

便秘がちで腸活したい人

大麦は白米の約19倍の食物繊維を含み、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えるサポートをしてくれます。

便秘改善や腸活を意識している人にぴったりです。

血糖値が気になる人

水溶性食物繊維のβ-グルカンが糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値上昇を抑える働きが期待されます。

糖尿病予防や低GI食品を意識する人に適しています。

コレステロール値が気になる人

大麦に含まれるβ-グルカンは、血中コレステロールを低下させる作用があるとされ、動脈硬化や心疾患リスクの軽減につながります。

ダイエットや健康志向の人

食物繊維が満腹感を持続させ、食べすぎを防ぐ効果が期待できます。

さらにビタミンB群やミネラルが代謝をサポートし、健康的なダイエットを助けます。

子どもから高齢者まで幅広い層

麦ごはんや麦茶として日常的に取り入れやすく、クセも少ないため、子どもから高齢者まで安心して食べられます。

特にもち麦はぷちぷち食感が楽しめるので、食感のアクセントとしても人気です。

大麦のQ&A

大麦を取り入れる際に多くの人が疑問に思うポイントを整理しました。

麦ごはんや麦茶でおなじみですが、品種や加工方法によって特徴が異なるため、知っておくと便利です。

Q. 押麦ともち麦の違いは?

A. 押麦 は大麦の外皮を取り除き、蒸してローラーで平たく加工したもの。クセが少なく食べやすいのが特徴です。

一方、もち麦 はもち性の大麦を精麦したもので、ぷちぷちとした弾力ある食感が楽しめます。

食物繊維量はもち麦の方が多いとされます。

Q. 大麦と小麦は何が違う?

A. 大麦と小麦は同じイネ科の穀物ですが別種です。
大麦:食物繊維が豊富で、麦ごはんや麦茶、ビールの原料に利用。
小麦:主にパンや麺、菓子などに利用され、グルテンを多く含む。

Q. 大麦にグルテンは含まれる?

A. 大麦には微量のグルテンが含まれていますが、小麦ほど多くはありません。

グルテンフリーを厳格に行う必要がある人(セリアック病など)は、大麦の摂取も避ける必要があります。

Q. 下処理は必要?

A. 押麦やもち麦は軽く水洗いすればそのまま炊飯可能です。

粒が硬い「丸麦」を使う場合は、30分〜1時間ほど浸水させるとふっくら炊き上がります。

Q. 保存方法は?

A. 未開封であれば常温保存が可能ですが、開封後は湿気や酸化を防ぐために密閉容器に入れて冷蔵庫保存するのがおすすめです。

長期保存する場合は冷凍保存も可能です。

まとめ

大麦は、人類が最も古くから栽培してきた穀物のひとつで、日本でも「麦ごはん」や「麦茶」として長く親しまれてきました。

近年では「もち麦」「押麦」などの商品が広がり、健康志向の人々から再び注目を集めています。

栄養面では、水溶性食物繊維(β-グルカン) が白米の約19倍も含まれているのが最大の特徴。

腸内環境を整える、血糖値の上昇を緩やかにする、コレステロール値を下げるなど、生活習慣病の予防に役立つとされています。

さらにビタミンB群やミネラルも豊富で、健康維持や美容にも効果的な雑穀です。

食べ方はとてもシンプルで、白米に混ぜて炊くだけ。スープやサラダに加えたり、麦茶として飲んだりと、アレンジの幅が広いのも魅力です。

クセが少なく食べやすいため、子どもから高齢者まで取り入れやすいのも特徴といえます。

毎日のご飯に少し加えるだけで、腸活や健康維持をサポートできる大麦。

まずは「麦ごはん」や「麦茶」から気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。

雑穀十色【公式】
[編集者プロフィール]
雑穀十色【公式】
大学卒業後、病院や高齢者施設での栄養指導に従事。日々の食事がいかに大切かを痛感し、特に不足しがちな栄養素を補える雑穀の可能性に着目。現在は、雑穀の魅力を伝えるべく、セミナー講師やレシピ開発、Webコラム執筆など多岐にわたり活動中。本ブログでは、科学的根拠に基づいた正確な情報と、日々の食卓に取り入れやすいアイデアを提供します。